LIFE LOG(880 NOTES)

880 NOTES

バンドリと旅行と雑記

880 NOTES

声なき者の声 ~某ゲームのレビュー~

※注意※

①Heaven Burns Redのネタバレを含みますので、第2章までプレイし終わっている方のみ閲覧してください。辿り着いていない方、プレイしていない方は今すぐやってから読んでください。やらずに読んだ奴は眼球潰します。

②眼球潰されたオタクは、その後自分でぜひプレイしてください。

このレビューはエンターテイメントです。まともなレビューは他を当たってくれ。

④約15,000文字のレビューになりました、頑張って全部読んでください。

公開アカウントでの拡散を禁じます。准の目に届いてほしくないので。

 

 

 

――――prologue――――

皆さんご存じのことだとは思いますが、ついにKeyの新作、そして15年ぶりの麻枝准シナリオの新作ゲームとなる「Heaven Burns Red」がリリースされましたね。

heaven-burns-red.com

<最上の、切なさを____>

 

そして重ねてご存じのことだとは思いますが、僕にとってKeyという会社の作品は他のゲーム・アニメとは一線を画す存在となっています。僕は所謂「オタク趣味」を2010年に開始させているんですが、その時期に放映していたのがAngel Beats!でした。

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<Key牛になったすべての元凶は実はこれ>

 

そこから悪いオタクにCLANNAD

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<人生>

 

「Little Busters!」

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<茶番だぁぁぁーーーーーーっ!!>

 

などを勧められ、立派な鍵っ子・麻枝信者として育っていったんですよね。オタク趣味における師匠ともいえる人物の(絶大な)影響ではあるものの、青春を投げ打って紙芝居ゲームをプレイし続けた中学・高校生時代の思い出はかけがいのないものです(ほんまか?)。

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<実はプレイ時間一番長いのはRewrite(FD含め全ED全やり込み要素クリア>

 

しかし、近年の麻枝准のシナリオは見るに堪えない部分があったと言わざるを得ませんでした(そもそも遅筆に遅筆が重なって作品も出してなかったけど)。

麻枝准は終わった」

「あいつはCLANNADですべての力を使い切ってる」

「鍵辞めろ」

「アニメ脚本向いてない」

「さっさと筆折れ」

育毛剤ODすんな」

「ハゲ」

周囲からはそう切り捨てられ、僕自身その意見に同意せざるを得ない、そんな時期が長く、長く続きました…(ここで10年が経過します)。

 

その麻枝准が久しぶりにノベルゲーという“ホーム”ともいうべき媒体で新作をリリースするということで、前々から話題になっていた本作ですが、僕自身もチェックはしていました。そもそもタイトルで釣られてた(詳しくは割愛します)。

 

ただ、リリース前でCMを見かけるようになり始めたころから、本当にプレイするのかという葛藤が僕を襲いました。僕にとって「Kanon」「Air」「CLANNAD」「Little Busters!」を執筆した麻枝准という男は、以降どれだけゴミみたいな作品を作ったとしても紙芝居ゲーム界隈におけるトップシナリオライターであり、そうであってほしい存在なんですよね(ですよね?)。だからこそ、このノベルゲーという舞台で(ソシャゲという媒体の違いはあれど)、彼がゴミみたいな作品をリリースし、それを目の当たりにしたくないという想いがありました(アニメならいいのかと言われると複雑ですが、アニメならいいというよりかは、ノベルゲーでゴミシナリオを書いてしまったら救いようがないよねという話です)。それならばいっそプレイせず、彼を神聖視したままオタクとしての自分を殺していくべきなのではないかと、そう思うようになりました。

 

なので、リリースされてからも約2日プレイするかどうかを悩みました。その間に入ってくる情報も(狂信者を除けば)絶賛されている様子はありませんでした。「嫌なものを見るくらいなら…」そう思い一度インストールしたゲームをアンインストールしようとした時、ある曲が耳に入ってきました。

 

Endzeit/HEAVEN SHALL BURN

www.youtube.com

<世界で一番カッコいいメタルコアバンド>

 

We are the final resistance、我々こそが最後の抵抗者なのだと、我々こそが麻枝准とともに運命に抗う者なのだと、そうMarcus Bischoffが勇気づけてくれました。

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<Key牛を激励するMarcusの図>

 

例え准がゴミシナリオを書いて爆死しようと、全国に30万人いるKeyファン全員からリンチされようと、それを見届ける、それが自分の使命なんだと、そう気づかされました。

 

そして僕は意を決し、ゲームを起動したのでした________。

 

 

――――回想終わり――――

 

 

 

ということで、どうもKey牛です。

togetter.com

<悪意に満ちたツイートまとめ>

 

お待たせいたしました。いや、お待たせしすぎたのかもしれません。上記のような壮大なプロローグを経て、今話題のHeaven Burns Redをプレイしてみましたので、そのレビューを書きたいと思います。全国30万人のKeyファンに捧げます。

 

なお、プレイは第2章、つまり現在公開されているストーリーをすべて読んだうえでのレビューとなります。核心に触れるようなネタバレは避けるように書きますが、冒頭の注意文の通り第2章までクリアした人だけが読んでください。そこまでできないような軟弱オタクに読んでもらう必要はありません。

<執筆者は軟弱ですがね>

 

それからレビューについては、シナリオだけでなく、ゲーム全体についても触れようと思います。先人のブログを先に読んでしまったのですが、なるべくフラットかつ自分の感想を全面に押し出して執筆したいと思います。

www.xn--nmq964a9ktknn.jp

m0on0000.hatenablog.com

japan-moemoe-kyung-kyung.amebaownd.com

<1人軟派な奴がおるな?>

 

 

【総評】

とりあえず結論から。総評としては「完成度の高いソシャゲ」と言えるでしょう。まあソシャゲーマーではないので、近年のソシャゲ情勢は一切わかりませんが。細かい部分は後々触れていきますが、システム面は「消滅都市」の開発をしていたスタジオとの共作ということで、かなりしっかりと作りこまれているなという印象。そして安定の麻枝准作曲音楽。キャラクターもしっかりと描き分けがされており、今後の展開が期待できます。そしてシナリオ。現在公開のシナリオのみの評価ですが、「戻ってきた」。そういっても過言ではないでしょう。少なくともAB!以降のだーまえ作品では一番良いのではないでしょうか(AB!のゲームと神様になった日は未履修(Poserやな)なのでわかりませんが…)。

 

もちろん、個人的に気になる部分、マイナスと感じる部分も多々あります。しかし、ここ最近の作品は賛否両論にすらならない(ここでいう“賛”は「まあ強いて言うならここが良かった」ではなく「ここはすごく良かった」と評価できることを指します、なので、近年の麻枝准脚本アニメ作品は該当しません)ことが多かったように感じるのですが、本作については賛否両論を呼び、オタクと語り合える、どれだけ低く見積もってもそれくらいの出来にはなっていると思います。個人的には第2章の完成度は、時代の経過を鑑みると素晴らしい出来だと言ってよいと感じるものでした。

 

こういうゲームとか作品って良いものはやはり他人に勧めたくなるものですが、本作については、過去のKeyの“ゲーム作品”をプレイして昨今のアニメ作品に幻滅しているオタク(Key牛)は、プレイする価値があると思います。その目で現在の准のシナリオを見てほしいと思える、それだけの力がある作品と言えるでしょう。Keyはアニメ作品(とゲームのアニメ化)だけのオタクについてもとりあえずやらせてみると良い気がします。というかこの層は勝手にやって勝手に絶賛してそうだけど。逆にKeyや麻枝准の名前くらいしか知らないという人については、新しいソシャゲを探しているのであれば、とりあえず第1章まで触って判断をしてもらう必要があると思います。1~2日でできるので。その時点でシナリオが合わないのであれば(これはKey作品あるあるで、日常パートで共感性羞恥を覚えるタイプの人は多分続けるのがキツい、これはCLANNADリトバスもそう)、プレイをやめる事をおすすめします。

<本人もこう言ってる>

 

そうでないならそのまま続けてもらえるのではないでしょうか。個人的には、そんな感じでおすすめできるゲームですね。正直、ボコボコに叩く羽目になるのでは…という気がすごくしていたのですが、良い意味で予想を覆してくれました。では、次からそれぞれの要素について評価をしていきます。

 

 

【ゲームシステム面】

正直、ここが良かったというのがゲームとしての完成度を見た時に大きいのかなと感じています。メインストーリーの進めていく中でも、夜の時間でアリーナやショップ、交流、シックスセンス強化などどれに振っていくのかという“択”が多く、記憶の庭においても、時計塔・ダンジョン・プリズムバトル・過去の交流・前の晩に戻ってのシックスセンス強化など、“択”が多いというのは考える幅が広がって楽しいです。ポチポチするだけのゲームは如何にシナリオが良くてもゲームとして死にますからね。

 

ただ、できることが多すぎるので最初どっから手を付けるのか迷ったり最適な動きがどうなのか見えづらかったり、あれもこれもやらなきゃっていう強迫観念にかられるタイプのオタクにはきついものがあります。あとはまあシナリオのいいところで記憶の庭に飛ばされてプレイヤーランクを上げさせられるのはストレス溜まりますね。さっさとシナリオを読まさせてほしい。それから、本筋ではないところの要素を強要されることに腹を立てるオタク(所謂オールドスクールオタク、またの名を老害からも反感を買いそうだと思いますが、個人的には(時間が無限にあるなら)嬉しい要素だと思っています。

 

操作面は先人のブログで書かれているように、フリック入力で勝手に進んでくれたりするので楽、ファストトラベル・オートなんかもしっかりあるので、ユーザーに寄り添っていてよいです。煩わしさの軽減は図られていると思います。

 

強いてマイナス面をあげるとするとコンテンツ数の少なさでしょうか。メインストーリーが第2章までで、2週間あればクリアできるボリューム、イベントもシナリオは1日で読破できる、時計塔はメインストーリーを進めるにあたって勝手に開放、ダンジョン・プリズムバトルは固定で種類も限られているので、現状では廃人が2週間で遊びつくして飽きてしまうくらいのボリュームしかコンテンツ数がない状態です。

<廃人の末路>

 

ここは今後開発陣が必死に頑張ってなんとかしてほしいですね。あと准、Twitterでヘラヘラしてる暇があるならシナリオを書け_______。

 

 

【バトルシステム面】

戦闘システムはコマンドバトル形式で、よくあるやつです。キャラクターには属性3つに、役割が7、さらに追加属性(雷とか氷とか火とか)が割り当てられており、パーティー編成のしがいはあるのかなと感じます(まあ結局SSのキャラ突っ込むんだけども)。というか、敵によって得手不得手が結構わかれるので、使うパーティーも一つに固定されません。これについては煩わしいと感じる人もいるでしょうが、僕は好きです。

 

戦闘中もスキルとオーバードライブの発動のタイミング、攻撃先との相性、バフ・デバフ・ヒールのタイミングなんかを考える余地があるので今のところやってて飽きないです。特に1キャラでもHP落ちたら即終了なので、ムキムキにして殴る戦法を取らなければ作業ゲーとして回すのは結構難しい気がします(俺がRPG弱者なだけ説もある)。それくらいのゲームバランスなので、完全作業でポチポチするだけじゃないとダメっていうタイプのオタクには向かないのかなって感じです。

 

定期的に入るボス戦についても、シビアなラインだとは思いますが、育成しながらいけば詰まることはないかなぁという印象です。実際僕は第1章と第2章のラスボスで仕様を理解できず1乙したくらいで、詰まったというのは特にありません。(まあイカレ研究女、薬の研究女、関西弁女、ともり(ガチャで出る方)を保持しているので、メタクソ進みやすいのはあるかもしれません、イカレ研究女強すぎ問題)。もーん君の記事を見ても戦闘面で詰むことはあんまなさそうなので、その辺の調整は良いのではないでしょうか。最悪詰まればアリーナ自動周回でムキムキにすれば勝てますしね…。

 

もちろん、ソシャゲという枠を飛び出るような画期的なものはありませんが、コマンドバトルRPGのソシャゲとしては、よくできていると思います。少なくともFG○よりはまともだと思う。

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<楽しいか?>

 

 

【ガチャ】

ソシャゲと言えば触れざるを得ませんよね。ガチャで引けるのはキャラクターではなくキャラクターの戦闘する際の“スタイル”。レアリティはA・S・SSの3つで、SSは3%で排出っぽいです。リセマラしている感じだと20連×50回でSSが確かに30枚くらいだったかなという感じ。うちSSを2枚抜きできたのが3回でしたね。どこぞのFG○に比べたら良心的なのではないでしょうか。

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<リリース当時100回くらいリセマラしてまったく☆5が出ず挫折>

 

レアリティの数も多くなく、Sも強化すると(ものにもよるが)使い物になるので、その辺も好印象ですね。ダブりは強化に使えます。地味にこのスタイルっていうのが良いなと思っておりまして、ゆくゆくは全然違う属性とか違うアプローチができるスタイルとかも出てきそうじゃないですか?そういうの好きだからやってほしい。

 

 

【キャラクタープロット】

総勢50人くらいいるんで、まだ全然わからないキャラクターも多いですが、シナリオやイベントで他小隊と絡みながら徐々に深掘りはされるのかなーという印象。今のところ31B/Cのキャラの掘り方は良い感じですし、キャラの描き分けも上手くいっているのかなーと思います。まあどこかで埋もれるキャラは出てきそうですが…。交流でも深掘りはされていくので、それも楽しいです(シュワシュワシャワシャワナカヨクシャワシャワ)30Gのキャラとの交流が面白くて好きです。

 

プロフィールとかもざっと見る感じ、結構頑張って作ってるなーという感じだったので、悪くないように思います。正直、准は男キャラありきでキャラ数も絞ってるから面白いみたいなところがあると思っていたので、こんな能力あったんだって感じでした。オリキャラでこんだけ描き分けるのすげぇよ。個人的にはぶっ刺さりなキャラが今のところいないので、その辺はこの先を楽しみにします。狐面のキャラは気になるので早くくれ、交流見させろ。

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<男女問わず狐面とか狐目キャラが好きなので気になってる>

 

 

【キャラクターデザイン】

汁で大人気?のゆーげん氏ですが、僕はアトリエシリーズに疎いので、アトリエの絵師は岸田メルしか知りません。

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<このおっさんだけ知ってる>

 

なので、わかりません。きれいな絵だと思います。ただ、キャラデザ面で割かし有名なアニメタイトルにお前居たよな?みたいなデザインが多い気がします。関西弁女と5等分の2とか、お薬の方の研究者とこのすばのめぐみんとか…。30G部隊長もどこぞの聖剣使いと似てますし…。まあいいんですけど。

 

 

【3Dモデルとかマップとか】

探索・戦闘シーンは3Dモデルで、まあこんなものでしょうって感じ。スマホゲーならこれで十分だと思うんですが、いかがでしょうか。

 

少し改善してほしいところを挙げるとすると、マップに関しては正直ダンジョンとかはもう少し自由が利くようにして欲しいなぁという印象。あと戦闘シーンのモーションとかもうちょっとパターン増えたらいいのにな感はある。そのキャラ独自のモーションを作ってあげてほしい。まあでもそれくらいっす。

 

あとエフェクトとかバシバシだから結構重いのは気になります。設定普通にしてたら第1章Day11のアビスノッカー戦でスマホ爆発するんじゃね?くらい重くなったから設定最低にしたけどそれでも重い。どうにかしてほしい(スマホ買い替えろ)。

 

 

【声優】

全編フルボイスで、全キャラ別人を雇っているっぽいので気合が入っています。

<准のこだわりポイントらしい>

 

でも知らない声優が多いです。知ってるの多分10人もおらん。全部きっちり聞けていないですが、今のところこいつやべーだろってのはいない気がします。後述の銀魂女さんくらいですかね、モノ申したいとすれば…。とりあえずともり。

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<りる!りる!りる!>

 

【音楽】

素直にヴォイ泣きです_______。(スタンディングマスターベーション

Burn My Soulのライブ演奏パートで感動に持っていくのずるくないですか?正直、ガルデモ越えたわ。ZHIENDも結構よかったと思いますし、やなぎなぎと組んでやってたやつとかも良いんですけど、「これだよこれ!」って感じの曲で120点満点でした。AB!以降こういうのを待ってました!っつー曲は来てなかったかなぁという感じなので、テンションぶち上がりました。

 

楽曲面の話をする(楽曲派なので)と、Screamo~Post HardcoreでありがちなメロをベースとしたEmo Rockが基本にはなっているんですが(所謂ワンオクとか)、リードギターがテクニカルな叙情系ハードコア~叙情系Djentとかのエッセンスを入れている感じがGoodだと感じました。また、最近流行りのPost RockフィーチャーのEmo(You Blew It!とかEmpireEmpire!とかAlgernon Cadwalladerとか…あの辺のやつね)のメロとかリズム感も感じる辺りセンスがいいですね。トータルで言うと、有象無象の(国産)叙情バンドたちがやりたかった(けどできなかった)ことを普通に作ってしまっている感。天才です。あとなんでかわからんけどForeground Eclipseの後期(3rd~4th)の楽曲を思い浮かべる感じもありますね。天才です。

www.youtube.com

<ふぉあぐらのこの時期も聞きやすくていいですよね>

 

スクリームを入れていることは賛否あるそうなんですが、個人的にはそんな気にはなってませんね(普段聞いてるだけだろ)。まあこの手の音楽も10年前から比べるとかなり市民権得てきてるしね(気のせい?)。曲には馴染んではいるので、この感じで良いと思います。

 

第2章のDance Dance Danceもだーまえ節でごり押しって感じが良かったです。ツインボーカルは歌い分けが結構肝になるんですが、マジクソキモい(誉め言葉)歌い分けしてて、流石だーまえなぁって思ってました。強いて言うならサビもっとぶち上げてほしかった。

 

その他劇中歌も平均点ばり高いので、いつも以上に曲評価は高い気がします。准、ありがとう_______。

 

ところで、真面目にライブで聞きたいんでSiL(汁!?)のライブやってほしいです。

…バンドリ?死んだ。俺がころした。

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<もう、いい……>

 

 

【世界観設定】

ここまではまあ余興みたいなもんで、こっから本格的に准のシナリオについて触れていきます。まずは世界観設定。正直ありがちというか…(例:ストライクウィッチーズ、艦これ、シンフォギア等々)まあ准は世界観設定自体は結構凡百なところはある(凝ってたのはAB!くらいか?)ので、そこまで気にはなりませんが、使い古されてる感は否めません。ただ、准シナリオで見逃してはいけない“裏の世界”

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<これね>

 

准シナリオでは、この“裏の世界”を用いることでルート分岐システムの整合を図りつつ、問題提起を行ったり、グランドルートにおける目標が何なのかを提示したりしています。ここに表現の妙みたいなものがありまして、端的に作中で示してしまうことも1つではあると思うんですが、この初見ではわからないけど、どんどんと世界の構造が見えて、すべてが一致した時にグランドルートが見れるという、この構成がね?わかるだろ(語彙力)?

 

これがアニメ作品では描けずに終わっているところがありました(正確に言うとやろうという気概は見えたが尺と説明が足りず???で終わってた)が、今回は恐らくソシャゲというメディアに適した形で実装しているのかなぁって感じです。そう、“記憶の庭”です。

 

この“記憶の庭”は恐らくメインストーリーとは別の世界線、あるいは別の時間軸に存在しているんだろうなということは容易に見て取れます。上述の通り、准シナリオにおける“世界の表裏構造”は外せないと思っているので、(旧作やっているオタクの皆さんはわかりますよね?)、深読みでなければ、この設定は結構アツいと思います。従来の手法を取るのであれば、記憶の庭の修復によってグランドルートにつながって、喪った仲間を取り戻して…って感じにつながっていくんじゃないですか?知らんけど。あとナービィの関係もこの辺に含まれそうな予感がするので期待ですね…。

 

キャンサーとセラフの設定に関しては、現状ふーん程度のもの。つかさの関係でセラフにも何かありそうですが…その辺は今後解明されるということになるのかなぁ。そこかしこに伏線のようなものがマッハで張られていくので、正直回収されるかわかりませんがね…。

 

今のところはその程度でしょうか。正直世界観の説明が第2章まででは?な部分も多いので、今後徐々に説明されて行くのを待つしかないのかなという気がします(これに関しては、Keyあるあるな気がするので特段マイナスというわけでもないと思います、KanonとかRewriteとかもこんな感じだったし)。

 

 

【ギャグパート】

賛否両論あるギャグパートですが、マジで異常な頻度でギャグパートを突っ込んでいるので正直うるさいと思いますし、初見さんに無理してでもやれと言えない理由はここにある気がします。中身自体は割といつものKeyな感じはありますが、ネタのチョイスとかが古かったりニッチだったりして正直そんなにおもしろくないです。しかもそれが10分読み進める中で5~6回出てくるので、しんどいです。間違いなく。あと天丼も多すぎて白ける。これを本当に面白いと思っている奴真剣に頭ヤバいと思う。准、面白くないネタ擦るの楽しいか_______?

 

ただ劣化してるのかと言われると、劣化なのかなぁ…と思うこともあります。というのも従来のKeyのギャクパートと明らかに違う点があるからです。1つは、ボケが愛すべきバカ男キャラから天然女さんに変わっていること、もう1つはツッコミが銀魂女さんであることです。

 

1つ目はこの作品発表当時から言われてましたが、「だーまえ男キャラなしで書けるの?」ってとこですね。これまでのKey作品には愛すべきバカ男が必ず登場し、渾身のボケをしてくれるんですよね。

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<愛すべきバカ男たち>

 

ただそれと全く同じことを天然女さんがやっておもしろいのかというと、それはどうなのでしょう。これは性差別とかではなく、男が言うから面白いこと、女が言うから面白いことってあるよねって話です。要は女キャラにキンタマだのチンポジだの言わせても面白くないよってことですね(それだけではないけど)。

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<問題のシーン>

 

准がもうかなりのオッサンなので、准の感性で面白いと思ったことを女キャラが言っても面白くない、これが男キャラだったならまた変わってくるものがあるのかなと思います。

 

もう1つは一部特定キャラのツッコミが銀魂女さんなことですね。具体例は出しませんが…。

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<容疑者のI氏>

 

これも上記に通ずるものがあると思うんですが、銀魂女さん(ここでいう銀魂女さんは登場人物ではなく原義の方です)のツッコミってめちゃくちゃ共感性羞恥煽りますよね、あれ…なんなんだろうね?あれヤバくね?胸、痛くね?絶叫するだけのツッコミって、内容が面白くなければ全然笑いに転じないですし、本作の某さんは仮にも頭いいキャラなんだから、機転の利いたツッコミくらいしてほしいものですよね。ただ、これは声優さん側の演技の問題もあると思うので、准だけのせいじゃないと思います(准は悪くない!)。

 

というわけで、劣化しただけではないと思う部分もあるんですが、結論面白くないギャグパートが永遠と続くので普通に険しいです。我慢してやりましょう。ただ異常なペースで詰め込まれているせいで1つ1つ指摘できない節があります。そうやって難を逃れるといいんですね、参考になるなぁ……准、そこに正座しろ_______。

 

 

【ストーリー展開】

全体通してみると第1章・イベントは綺麗にまとまりつつ、最後はちょっと感動する場面もありつつって感じでしたが、細かい展開のさせ方とかで気になる部分は多数ありました。とはいえ、基礎がしっかりしているというか意味不明な展開や、力づくすぎん?みたいな不自然さはなく、綺麗な脚本だったと思います。これ、当然のように感じますが別にそんなことないですし、この人のアニメ作品は当然のようにできていなかったですからね?(ひとりきりじゃなかった ずっとそばに居たんだ この手を伸ばす 恐いものなんかない 例え化け物になろうとも成し遂げる)

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<これほどまでに強引に終わらしたアニメ作品があっただろうか>

 

…で、ここまでであれば「悪くない」出来でしたねーで終わったんですが、問題の第2章。ここがすごかったですね。いやむしろ、フラグという意味では力づくなのでは?ってくらいごり押し感もありましたが、力づく=丁寧にその過程を描写していたということだとも思うんですよね。そういう意味では、蒼井の成長、周囲の成長、そして仲間との絆、それが構築されてからのあの結末。この積み上げるものと喪失するものの落差が大きければ大きいほど感動を与えてくれる、これこそが准の真髄なのではないでしょうか(というか、これに関しては創作物全般そうだと思う)。

 

そういう意味では第1章やイベントは少し端折りすぎた部分もあると感じたのですが、第2章はそれがなかった、そこが素晴らしいと思います。あともう1点あるが、それは後述。

 

逆にストーリーを読む中で残念に思った箇所としては、全体的に伏線の張り方が粗雑なことです。やはり第2章でも、もう少し伏線として成立させながら展開してくれたら、より面白いのに…と思う場面は多くありました。あと第1章だとぶんちゃんと和泉のやり取りとかもそうですね。確かに准の十八番は日常の違和感が物語の本筋に関わっていくことではあるんですが、違和感どころじゃないんですよね。露骨すぎて伏線というか、もうただの線やんみたいなのが多い気がします。別にミステリというわけでもないので、伏線である必要もないとは思いますが、准下手くそになってね?とは感じます(ただこれに関しては、今旧作品群をしたら同じように感じるのかもしれん、わからんけど)。

 

それから、これはメディアのせいというのもあるんですが、結構ぶつ切りな展開が多いです。第1章も11日~12日にかけてすっげぇブツブツに切れていて読み手は疲れるし白けるしって感じでした。あとバンドの話の展開も結構無理やりねじ込まれている感があったり…。もちろん、ソシャゲというフォーマットである以上、展開の流れが切れてしまうことも致し方なし…正直限界もあると思いますが、ソシャゲだから無理でした!だと「ほら見ろ、だから准にソシャゲは無理っつってたんだよ!」って話になってしまうので、准には頑張っていただきたいと思います。

 

逆に先述のように、ホーム画面を逆説的に使ったトリックとかも見えている?ので、その辺りは“ソシャゲ”という枠だからこそ出来ることをしてほしいです。あとまあ第2章のアレをソシャゲでやったことも評価できると思いますし、この点は結構革命的な気がします。できればシステムにも反映してほしいですね(は?)。

 

少し批判的なこともありましたが、大局的に見ると70点は余裕であるかなぁという感じです。個人的には第1章とイベントが70点、第2章が88点って感じです。まあそもそもKey作品は尻上がり的に面白くなっていくので、現状はこんなもんっちゃこんなもんなのかもしれん。准、期待しているぞ_______。

 

 

【キャラの心情描写】

准がなぜ評価されるのか(されていたのか)、それはこの心情描写が長けていたからに他ならないと考えています。決して“リアル”な描写ではない、言ってしまえば“フィクション”“綺麗ごと”ともとれるような作り物の表現ではあるんですが、それでもキャラクターが何かを“喪い”、そして大切なものに“気づき”、新しいものを“築く”、この一連の“人としての成長物語”の流れが美しく、そして儚く、情に訴えかけると、僕はそう考えています。皆さんも思い当たる節はあるでしょう。

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<思い当たる節>

 

それ故にAB!の最後のシーンが嘲笑され、ネタにされている…といえば僕の言いたいことはわかってもらえると思います(わからない方のために説明をすると、他者は過去のトラウマを乗り越え、叶えたい願いを叶え=成長することで、あの世界から去っていくのに、それを主人公ができず泣き喚くというのは、それまでのKey作品にはないストーリーの持っていき方だったということです、ネタバレ注意です)。

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<Key旧作品群を履修した後に見るとマジで白ける>

 

これをヘブバンで考えると、心情描写の移り変わりが非常にわかりづらいです。主人公は置いておくとしても、周囲のキャラクターについても心情の変化がぶつ切りだったり、なんで?って思うような描写が多い…というかほとんどそうだったように感じます。言語化が難しいのですが、「なんでそう思ったのか」という問いに対する解答が明確でない心情描写が多いです。この表現をされると読み手は「こういうことだろう」と予測しながら読むことになるので疲れますし、その解釈が准と一致しない場合、その後の展開がよくわからないものになってしまいます。あ、なお、主人公は気分屋とかいうレベルには収まらない、精神面に障碍を抱えているかのように感情の起伏が激しすぎる節があるので、一旦気にしないこととします(ともり…)。

 

個人的に一番引っかかっている部分はここで、准の良さというのが発揮できていない、一番の理由はここにあるのかなぁという気がしました。これに関しては恐らく初期3部作が顕著で、KanonAirCLANNADはここの描写がとてつもなく丁寧かつ繊細に描かれています。リトバスは1つ下がりますが、それでも見事だったと言えるでしょう(主にリフレインルート)。この点に関しては、好みもあると思いますがRewriteで唯一「准ではない」ことを感じさせられる点だったと感じます。その超絶Strong Pointを投げ打っているんですよね。

 

具体例を挙げると第1章Day12の急にドームの人を守り出すところとか、31Aのメンバーの心情描写が粗雑すぎて、なんで皆足並み揃えて一致団結してるの?って感じになります。もう少し丁寧にそれぞれのキャラに歩み寄って、主人公との関係性や、各キャラが主人公に対してどういう感情を持っているのかを描写すれば解決できると思うんですが…。

 

あと同じく第1章Day12のワッキーぶんちゃんコンビのアレとかも、31Aの方の壁というか、なんか一歩引いてる感じがあって、すごく気になりました。なんか「そんな…」みたいに言ってるけど、全然身に入ってないというか…。これは、声優さんの演技が悪いというわけではなく、31Aのキャラの内面に踏み入っていないが故に、冷めている感じに受け取れるように感じます。

 

それからイベントのマリが最後タブレットで母親の想いを知る瞬間とかも、そこに至るまでの過程の説明が丁寧でないが故に、感情移入しきれないなぁと感じたり…(イベントなので仕方ないのかもしれないが)。このシーン、確かにKey作品ではよく目にするような光景ではありますし、テーマ的にもCLANNADのAfterの名シーンとも被るような場面もあったりはするんですが、そこに至るまでの当人と対峙するキャラの関係性やその変化なんかを読み手が理解しながら読み進め、その阻害されていたものが退けられて、そこに至るからこそ感動できるのであって、それっぽいことを書いておけばいいなら僕にでも、その辺のオタクにでもできると思うんですよね。

 

第2章はこの部分少し改善されています(というか尺が長いだけなのかもしれんが)。蒼井の迷い・戸惑い・恐怖から決意への変化という部分は確かに丁寧に描かれています。そこは良いんですが、明確ではないんですよね。月歌をはじめとした31Aとの交流や、31Bの仲間との絆を深めたことによって、具体的に守りたいものが定まったからこそ、その想いがセラフの潜在的な力を引き出して~くらいのことはなんとなく察せるんですけど、そこに至る過程の描写って実はあまり蒼井の視点からは描かれてないですよね。この僅かではあるんですが、決定的なこれまでからの“劣化”故に、「ヘブバンCLANNAD並みだわ」「リトバス超えたわ」とは言えない、僕はそう考えます。

 

この心情描写の“甘さ”はギャグセンとかよりもよっぽど深刻に劣化している部分だと感じます。もしかしたら後から理由付けがあるのかもしれないですが…だとしても個人的には致命的に良くない部分というか、一番の魅力となる部分を欠いていると思います。先述のストーリー展開が多少粗雑であったとしても、ここの心情描写が良ければ十二分に既存作品と並ぶことはできると思うのですが(Key作品の歴代名シーンのいずれもが、対峙するキャラクターとの心情のギャップやすれ違いが解消され得られる感動であり、それを繊細に描いていることが大きな要因であるため)、このまま行くのであれば、それは実現できないのかなと思っています。准、お前なら_______。

 

 

【最後に】

というわけで、以上Key牛による所感でした。反論があるやつは居酒屋で聞いてやる(日本萌学会さん、深い鍵飲みはいつやるんですか?)。

 

まあ贔屓目に見ているところもあると思いますが、個人的には結構フラットに書いてみたつもりです。そして後半~最後に掛けては批判的なところや、目に付いたところを指摘してはいるんですが、あくまでこれまでの作品と比べて…というところであって、ヘブバン単体で見ると、前述の通り基礎がしっかりしているので普通に悪くないと思います。これはこの作品を評価する上でかなり重要で、基礎がなよっとしているといつ転んでもおかしくないんですが、この作品は基礎がしっかりしているからヘタを打たない限りは爆死みたいなこけ方をする可能性は低いと感じています(なお、准は精神を病んでいるので普通にとち狂って明後日の方向に突き進む可能性はあります)。ちなみに冗長すぎて飽きられる線はあると思うというか、可能性は高そうですよね。そうならないようなイベントやシナリオの展開をKey・WFS両スタジオに期待したいですね。

 

正直、期待値は0だったので、ゲーム自体の完成度の高さに驚いています。第1章やイベント時点では「悪くねぇ」ってくらいだったんですが、第2章を読了した時は、CLANNADリトバスをプレイしていた時と近しい気持ちになっていました。築き上げたかけがえのないものが喪失する瞬間って本当に儚いですよね。この見せ方が准は本当に上手いし、これをしてほしかったって感じでした。10年間マジ何してたんだよ。そして、ソシャゲでこの展開をぶち込んできたことも正直驚きつつ、感服って感じでした。や、正直いうてもプレイアブルキャラとしておるんやし、ハイパーサイメシアの設定なら、そっから全部記憶なくなってとか、そんなところで落としてくるんやろなぁって高を括ってたら普通に殺しててマジで震えました。准、お前がNo.1でもういい_______。この准とかいうやつは一体何人の女キャラを殺して、何人のオタクを感動させてきたのだろうか…。ただ准はどこぞのイカレ脚本家

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<見た目が怖い>

 

と違って無意味な死は取り扱わないと思っているので、これも1つの“鍵”として物語が展開されることを期待しています。あ、この辺第2章のネタバレ注意です。

 

兎にも角にもLow_Guyさん(誰?)がこだわっていた数字も成果として上がっているみたいなので、この良い波に乗ってより良いゲームと仕上がっていってくれればなぁという想いです。

 

もし何か記事にしたいことが出てきたら、また書こうと思います。ほな。

 

(Key牛)